どのような広告媒体によって開院広告をすれば、効果的なのでしょうか?

開院1~2週間前と開院日直前のチラシ・開院前の週末1~2日間の内覧会等により広告を行うのが効果的でしょう。それは、広告から開院までに日数が多すぎる場合は記憶がうすれてしまうこともあるためです。

 各種広告媒体の特徴を認識した上で、複数の広告媒体を効果的に使用するのがいいと思われます。主な広告媒体の特徴を挙げてみます。
駅広告:対象は駅の利用者。年間契約で費用が高い。設置場所により効果の差が大きい。
電柱広告:公道上に掲出できる唯一の媒体。道案内への効果が大きい。各種媒体のうち比較的安価。
電話帳広告:急患の利用者が多い。休日・夜間の診療時間等の記載がポイント。
折り込み広告:広告を行う地域の絞り込みが可能。即効性が大きい。直接手元に残してもらえる。
ポスティング:配布地域の選択が可能。即効性がある。折り込み広告に比べ手に取って見てもらいやすい。
Webサイト:医院の情報を詳細に掲載可能。予約制を考えるのならば効果的。検索の度にトップに表示されるための工夫が重要。

 医療法により、広告内容に関して、広告して構わないと認められている項目に制限がありますので、注意しましょう。

 内覧会の実施も、院内の設備や、院長・職員の人柄に自由に接してもらえる場となります。

 いずれの場合も、広告には安くはない費用がかかります。それゆえ、医院にとって効果的な広告となるよう、初診の患者様への問診票に欄を設けてアンケートを行い、どの媒体により医院を認知したのかを問いかける等したしばらく後に各広告媒体の費用対効果を検証するといいでしょう。

開業までにかかった経費に関する注意すべき点は、どのようなことでしょうか?

開業までにかかった経費についても医療収入から差し引くことができるのは、開業後の必要経費と同様です。ただ、「開業準備のために特別に支出する費用」でなければなりませんから、領収書や請求書については(台紙に貼り付けて)保存を行い、その説明が後になっても可能なようにしておくことが重要です。
1.交通費
 診療所の下見や保険所等への移動にかかった交通費の中で、領収書が存在するもの(タクシー代等)については、何の目的で移動したかを記入しておいてください。一方、領収書が存在しないもの(電車・バス代等)については、パスネット等を購入し、使用済みカードの保存を行うといいでしょう。
2.打ち合わせ等の飲食代
 開業に向けての打ち合わせ等に要した飲食代は、開業後に経費とすることができます。ただし、個人的な支払いと区別することが容易ではありませんから、「いつ、誰と、何の目的で」支払いを行ったのかを記入しておいてください。
3.その他の領収書
 診療所を借りるに当たって手付金を支払った後に、別の物件へと変更を行って違約金が発生した場合等にも、開業後に経費とすることができます。このような場合や経費になるか否かが不明である場合等には、領収書だけでなく、どうして支払ったのかを説明できる資料も保存しておき、税理士等に相談されるといいでしょう。

スタッフの募集は、どのように行えばいいでしょうか?

スタッフを募集する方法として、次のものがあります。
・新聞の折り込み広告や求人情報誌
・ハローワーク
・人材派遣会社
・Webサイト
・友人や知人からの紹介

 医院の顔というべきスタッフを採用する際には、後々のことを考える必要があります。
 
 スタッフ募集の開始時期は、医院の広告・宣伝について検討し始めるのと同じ時期とする医院が多く見受けられます。募集を新聞の折り込み広告で行えば、地域の人々に病院のことを意識してもらうこともでき、宣伝効果も期待できるためです。

 そして、より効果的なスタッフの募集方法として活用すべきなのは、どの媒体なのでしょうか?それは、地域によって差異があります。また、新聞の広告・求人情報誌に掲載すればかなりの費用が必要となりますので、費用負担のないハローワークの活用も選択肢の一つです。
 地域によっては、有資格者の確保が容易ではない場合もあります。広告・掲示を地域の看護学校等に依頼し、学校の先生方や知人に紹介してもらうという方法も考えられます。ただ、採用した後にご自身の医院に合わない場合にも率直に意見をいいづらいときがありますので、採用の検討時には留意するといいと思われます。
 人材派遣会社を活用するという選択肢も存在します。有効なのは、経験者・有資格者を確保することや、医院に合う条件を提示することができる点です。人材派遣の活用は、費用が高くなるのではないかと思われることも多いといえます。しかしながら、通常の従業員に比べ、賞与の支給や社会保険等の費用負担がありませんので、長い目でみた場合、逆に費用削減につながる面があります。そして、何度も面接をすることができるほか、採用に至らなかったときには基本的に費用がかかることはありません。人材派遣の活用は、よりいい人材の確保に資する方法であるといえるでしょう。ただし、条件の合う人材を探し出すためには、早めの依頼が重要となります。
 

開業に関して相談をするのは、誰がいいのでしょうか?

開業に関わる必要事項と、その依頼先は、次のようになります。
・物件検索、賃料の交渉、契約書の作成→不動産業者
・予算に応じた医院の設計、施行業者の選定→設計士
・医療機器・備品等の総合的な金額の算出、使用機器についてのアドバイス→医療機器卸
・開業に当たっての広告・看板ロゴマーク等についてのアドバイス→広告業者
・開業に当たっての事業計画書の作成や銀行交渉、開業後における税務・経営相談や確定申告等→税
理士
・物件の選定から従業員の面接や教育まで開業までの一連のサポート→コンサルタント

開業に関わる必要事項は上記の通りですが、最も重要な開業場所(診療圏)を中心に、コーディネートが可能である専門家(税理士やコンサルタント等)に依頼することで窓口を一つにすると簡便でしょう。

設備等は購入と賃貸のどちらにした方がいいかについて教えてください。

購入と賃貸(リース)のどちらがいいかについては、リースのメリットとデメリットをよく理解した後に、そのときの状況に合わせて検討すべきです。

リース期間で均等償却をし、必要経費になること、リース期間は法定耐用年数より短いこと、購入時には必要な高額な資金が不要なことが、リースのメリットといえます。そして、中途解約ができないこと、購入の場合より支払合計が割高になること、リース会社が物件の所有権を持っているので、リース契約終了後も物件を使用するのなら再リース又は買取りの必要性が生じることが、リースのデメリットといえます。

一方、設俺等を購入する場合は、高額な資金を準備することが必要ですが、購人後に定率法と呼ばれる減価償却をしたときには、早くに経費を多く計上することができます。そして、購入の最大のメリットといえるのが、リースより支払合計が少額であることです。

購入とリースのどちらにするかは、リースのメリットにどれくらい重きを置くかによって異なりますが、自己資金に全く問題がないならば、リースより購入の方が有利な場合が多いといえます。

開業場所の選定は、どのように行えばいいでしょうか?

開業場所の選定は、最も重要なポイントの一つとして挙げられます。

選定に際して基本方針となるのは、次のようなことです。
・土地・建物は購入なのか賃貸なのか。そのことによってできる資金投資はどのくらいか。
・ご自身の行う診療行為にスペースはどのくらい必要か。
・どのような特性を持つ地域に開業するのか(住宅地型・駅前型・郊外型等)。

基本方針が決まったら、さらに詳細な検証をし、自ら優先順位をつけて物件に関する情報の検索を行っていきます。一般的には、次のようなことが検証条件となります。
・患者様にとって探しやすく、来院しやすい場所である。
・現在の勤務場所に近い地域である。
・現在の住居周辺やご自身の出身地である。
・標榜科目が周辺地域の人口年齢構成とマッチしている。
・競合科目医院の少ない地域である。
・街としての将来性がある。
・病診連携、診診連携がしやすい場所である。
・通勤しやすい場所である(住居と医院が別の場合)。
・駐車場の確保がしやすい場所である。

 ご自身の希望される全ての条件に当てはまる場所を見つけ出すことは困難ではあります。ただし、開業場所は最重要ポイントの一つといえますから、現実の売上(診療収入)を重視するようにしてください。ご自身の経営コンセプト等を明らかにし、後は専門家に依頼するのが望ましいと思われます。

親族からの借入に関する注意点は、どのようなことですか?

親・親類等からの借入については、第三者から借入をするのと違い、税務上留意しなければならない点が挙げられます。身内ですので、借りたのではなく、もらったのではないかとの認定がなされ、贈与としての課税が行なわれかねないからです。

贈与との認定を回避するためには、次のようなことに注意しなければなりません。
まずは、第三者から借入をするときと同じようにすることが必要です。ご自身が他人にお金を貸すことを想定してみると、後になって「貸したよ」、「いや、もらったものだ」等というもめごとが起こらないようにし、そして、貸した金額を明確にしておくことが重要であると考えられるでしょう。
それゆえ、親族間であっても契約書を作成しておくといいと思われます。借入日・借入金額・返済開始日・返済回数等を契約書に明記し、それぞれが署名と押印を行います。個人間の借入ですから、利息は必ずしも支払わなくても構わないでしょう。返済期間等も、規定は存在しません。
契約書通りに返済しているという事実が重要ですので、借入や返済をしたお金は入出金の事実を確認することが可能なように、現金によるやり取りをするのではなく、銀行を通じて行うようにしてください。

また、ご自身の資金繰りを考慮し、余裕のある返済計画に基づいて、契約書を作成することが大切です。
そして、開業資金として準備した資金の出所については、その資金が自己資金でも親のものでも、税務調査の対象となる可能性がありますので、ご留意ください。

資金調達の方法を教えてください。

開業資金の調達方法として、自己の預貯金から・親からの資金援助・金融機関からの融資が挙げられます。

 そのうちの融資制度は、次の通りです。
1.福祉医療機構による融資
 融資の利用可能か地域であるか否かは、診療所の過不足統計により決まることになります。融資条件を満たすならば、一定期間の元金据え置き制度等も設けられています。申し込みに当たっては、民間金融機関が代理店となります。
2.日本政策金融公庫による融資
開業の支援を行う開業融資制度を有し、多数の開業医はこの制度を利用されています。民間金融機関と比較して金利が低く、固定金利であることが、メリットです。
3.自治体制度融資
 利子補助や設備費用補助等が存在します。自治体によってはこの制度のない場合もありますので、事前確認が重要となります。
4.医師会提携融資
 医師会の提携金融機関からは、比較的協力的な支援を期待できます。都道府県医師会事務局が窓口です。
5.民間金融機関融資
 担保物件がそろっていることが融資の条件とされましたが、近年は金融機関が無担保での融資金額枠を多く有するケースもよく見られます。公的融資制度より金利が高いことが多いのが現状です。
 
これらの融資制度のうち、いずれを利用して資金調達するにしても、返済期間については可能な限り長めに設定をして、月々の支出を抑えるようにすると、安心できます。

開業までに、どの程度の準備期間が必要なのでしょうか?

開業までの準備として必要なのは、候補地の選定、診察圏調査、資金調達(資金計画)、医薬品卸業者等の選定、保険所等への届出、募集広告・面接・教育、開業時広告だといえます。

 開業までのスケジュールの例を挙げると、次のようになります(カッコ内は必要資料等です)。
平成25年5月   開業の決定。開業準備スタート(開業セミナーへの出席、展示会見学、先輩診療所見学)。
        ↓
平成25年6月   開業地立地調査(開業コンサルタント契約)。
        ↓
平成25年7月   開業地域の決定。銀行借入金交渉スタート(開業計画作成)。
        ↓
平成25年8月   開業地の決定。不動産契約交渉(不動産契約書)。
        ↓
平成25年9月   銀行融資の内諾(金銭消費貸借契約書)。
        ↓
平成25年11月   融資の決定。不動産本契約、銀行借入実行(不動産契約書、金銭消費貸借契約書)。
        ↓
平成25年12月   施工設計業者・取引材料店の決定、保健所挨拶。
        ↓
平成26年2月   診療所完成。保健所へ書類提出、診療設備納入、保健所視察。
        ↓
平成26年3月   スタッフ募集広告、面接。
        ↓
平成26年4月   スタッフ教育、開業時広告、協議会審査、レセプトNo.決定(雇用契約書)。
        ↓
平成26年5月   開業(税務署等への開業届)。

開業の際に必要となる役所関係の手続きには、どのようなものがありますか?

開業することが決まったら、諸官庁に届出をすることが必要です。これらの届出を大きいくくりで分類すると、診療関係・税務関係・雇用関係となります。提出先ごとの必要な届出書は、次の通りです。
1.診療関係の届出
 保健所・・・診療所開設届出書、診療X線装置備付届
総合通信局・・・診療用MRI装置備付届
厚生局・・・保険医療機関指定申請書
医師会・・・医師会の入会申込書(強制ではありません)
2.税務関係の届出
 税務署・県税事務所・・・個人事業の開業等の届出書
税務署・・・青色申告承認申請書、青色専従者給与届出書、給与支払事務所等の開設届出書
3.雇用関係の届出
 労働基準監督署・・・労働保険保険関係成立届
公共職業安定所・・・雇用保険適用事務所設置届、雇用保険被保険者資格取得届
年金事務所・・・健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得    
        届

なお、従業員数が5人未満なら、健康保険・厚生年金保険関係については任意加入です。医師国保又は国民健康保険・国民年金の継続適用とするときには、提出しなくて構いません。